お話おじさん′終活記

はや人生はラストステージ、いつのまにか年が過ぎ、いまがいちばん自由で、楽しい。

過去の世界

帰りに森八によって羊羹を、近江町によってのり瓶詰を買ってきた・・・亡次兄が好きだったもの。
供えてもらうのに、月末になったら、サトイモを掘って、いっしょに横浜の家族に送ろうと思う。

私は5人兄弟の末っ子なので、兄ばかり4人だったが、いちばん兄らしいことをしてくれたのは、次兄だった。同じ兄弟でも、性格には差があるし、付き合い方も変わる。

次兄とは、お互い所帯をもつようになってからも、上京すると、必ず家に泊まって、寝るまで話し合った。次兄も、私が金沢から来るのを楽しみにしていたようだ。

その次兄は5年前に逝った。上京して、その死顔を見たとき、自然と涙がこみ上げてきた。ほんとうに泣けた。
家族は茫然としたようだが、両親亡き後、戦後の苦しい生活を4畳半の部屋で二人、つねに寝食を共にしてきたから、その記憶が次々によみがえってきた。

それは残された兄嫁、子どもたちの知らないことだ。また私は、それを語ろうとも思わない。

次兄と私の二人が共有していた過去の世界のことだ。

再び語り合えることを信じたい・・・