お話おじさん′終活記

はや人生はラストステージ、いつのまにか年が過ぎ、いまがいちばん自由で、楽しい。

貴重な写真

今日は亡父の60回忌日に当たる。父のことは、私は小学2年生だったので、印象が薄いが、死際はよく覚えている。
どぶろくを飲んで、昼寝したまま、逝ったのである。大いに酒の好きな人だった。あとは、幼児のとき、いつも夕食では膝に抱かれていたこと、また怖い人だったことぐらいだろうか・・・

遺産はまったくないが、遺品をわずかに持っている。
父が中学を修了するときに書いた、墨筆の卒業作文と友人と撮った記念写真。そして、渋谷の家で親戚が寄って葬式を出した時の記念写真。

この葬式の写真は、戦時中家族のアルバムを防空壕に置いた所、水に浸かってほとんどがダメになったが、わずかに助かったもののだという。はげて、ぼろぼろだが、一家にとって貴重な写真である。

貴重といっても、この写真に映っている人間は、いまはもう兄の一人と私の二人になってしまった。

いずれ、すべてが忘れられていくのだ。