お話おじさん′終活記

はや人生はラストステージ、いつのまにか年が過ぎ、いまがいちばん自由で、楽しい。

N夫人の生きがい

先日N夫人に会った。昨年亡くなった私の友人N氏の奥さんである。

生前、N氏との付き合いが色々あったので、夫人とも自然に親しくなった。
昨年N氏は、はじめにガンを患い、それから難病を生じて、72歳で他界した。見舞いに行った時、このオレが普通の病気にかかったと思っているのかと、自らの病気の自慢をしていたことを思い出す。

お通夜にも葬式にもいったっが、気丈に振舞う夫人の姿が、かえって痛々しかった。

没後当然ながら元気なく見えたが、先日会った時は、こざっぱりとお化粧して生き生きしている。

夫を失ったからといって、ぼおっとしていられないのである。

N夫婦には子どもがなく、昨年から他人の子を一人預かっている。
県内でも柔道の強くて知られている高校が家の近くにある。町や高校からの依頼を受け、自宅からは通えない柔道部の生徒を下宿させているのである。

広い家にいま二人暮らし、N夫人はもうとっくに70を超えているが、日課として毎朝5時に起きて弁当を作り、朝食をとらせ、高校1年生の男子柔道部員を学校へ送り出さなければならない。

その話を聞くと、まるで自分の子のように世話をされている。それはN夫人の生きがいになっているに違いない。

生き生きしているわけだ。