先日院展を観て、印象に残った一点が「犀の角の如く独りゆけ」と題した作品だった。川の中を角を輝かせて進む一頭の犀を大きく描いた屏風絵だった。
絵もいいが、この力強い題名がブッダのことばであることを知り、今日は図書館へ行って本を探した。寂聴尼がその著書の中で取り上げていたので、次にその一節をあげる。
貪ることなく、詐ることなく、
渇愛することなく、見せかけで覆うことなく、
濁りと迷妄を除き去り、
全世界において妄執のないものとなり、
犀の角のように、ただ独り歩め。
教典スッタニパータには、このことばで終わる節は41あるという。寂聴尼のたいへん好きなことばで、苦しかったとき、辛かったときは声に出して、自らを励ましたそう。
人は生まれる時も独り、死ぬときも独り、他に頼らず、独りして自らが信じた道を進むということか・・・