お話おじさん′終活記

はや人生はラストステージ、いつのまにか年が過ぎ、いまがいちばん自由で、楽しい。

アンディ・ウォーホルの話

今日は、現代の芸術――死の影の下の芸術――の講義を視聴した。
第二次大戦後の現代芸術は、一見そうは見えなくても、背後に死の影をしのばせている。戦後芸術は、戦争による圧倒的な死の記憶と無縁ではありえない。
その代表的なものとして、講師がはじめに取り上げたのが、アンディ・ウォーホルだった。

ウォーホルといえば、デビュー作品の《32個のキャンベル・スープ缶》で、これは徹底的に個性・主観・オリジナリティを排したアートだそう。
当時一般に市販されている全種類のスープ缶を描いたのは、種類の選択という個性・主観の介入を排する行為であり、写真のようにそのまま手書きしたのは、近代的なオリジナリティ信仰・・・何かそれまでとは違うオリジナルなものを作らなければ、芸術とはなりえない、という近代に特有の信仰・・・を正面から乗り越えるための戦略だった。
それは、個性主義、オリジナリティ至上主義を超えて、人々が愛し合い共鳴・共生すべきだという思想の上にたったからとのこと。

この作品の直後にマリリン・モンローの死が伝えられ、彼は死をテーマにした多くの作品を残した。一見すると、華やかな大衆的欲望のシンボルであるように映るモンロー、その奥に死の影を宿した顔であるという。
さらに、死を正面から取り上げた《電気椅子》や交通事故の作品をとおして、現代社会には死が日常的に偏在しているという、現代の本質を表現したとの話だった。

いろいろと勉強になりました。