前から、一度はひも解いてみたいと思っていた、小林秀雄晩年の大作で、難解で知られている「本居宣長」を閲覧した。
本篇と補遺からなっている。
昭和55年に新潮社から出た初版本で、書き込みがあったりして、読んだ先人の苦闘のあとがうかがえる。
思ったとおり、歯が立ちそうもないので、借りずに、はじめの宣長の遺言についての節だけ読んだ。
文は、宣長の墓を訪ねたことからはじまり、遺言書の内容と小林秀雄自らの考察に及んでいる。
宣長の遺言は、財産のことではなく、自分の墓をどう立てるか、葬儀は供養はどうするのかなど、死後に残された者がなすべきことに尽きている。
立てる墓を設計し、図まで書いた。
西行と同じく、桜を愛した人で、墓地に桜木を植えるようにデザインしているのが興味深い。
しかも、ごく上等な苗木を指定している。
宣長も詠った。
敷島の やまと心を 人とはば 朝日ににほふ やまざくら花
いまは下肥となって、桜木そのものに変身しているに違いない・・・この三人には、共通した日本人の純粋な心があると感じた。
この本を10日かけて、読破したという人もいるようだけど、いまのわれは、ただ見るだけで、残念ながら、こういう本を読む能力も根気もないなあ・・・