お話おじさん′終活記

はや人生はラストステージ、いつのまにか年が過ぎ、いまがいちばん自由で、楽しい。

自分史3

子どもの頃の記憶は、いつまで遡れるか、まちまちだろう。次兄は3歳下の弟が生まれるときのことを覚えていた。私には、わりと鮮明な記憶が三つほどある。

初めて会う上品な老婆が座蒲団にきちんと座って、こまねきしたシーンがいまも浮かんでくる。その老婆は訪ねてきたわが家で、その時に亡くなったという、ショッキングな結末になった。人の死に関係して、覚えているのだろう。残念ながら、それが何時のことだったのかが不明である。

強烈な印象は、男だからだろうか。家には風呂がなかったので、いつも銭湯だった。母親といっしょなので女湯だった。近くが多かったが、ときに道玄坂の百軒店まで遠征して、奥の遊郭の一角にある弘法湯の一番風呂に入りに行った。お嫁さんが大勢いると言って笑われたが、いざ出動の芸者衆が鏡の前にずらっと座って、肩まで白化粧をするシーンは忘れられない。

そして最後は、食うこと。当時道玄坂にアイスクリーム屋があった。夏になると、夕食がすんだあと、兄がよくそこへ連れて行ってくれた。店の名は何といったか、中の壁が(ブリキの)青竹だったことが目に浮かぶ。