お話おじさん′終活記

はや人生はラストステージ、いつのまにか年が過ぎ、いまがいちばん自由で、楽しい。

ケアの話

今日の講義の要点はケア(世話、手入れ、配慮)の話だった。ケアといっても、介護のことではなく、広い意味での人間活動上の行為で、先端的な科学技術である細胞の培養でのケースが取り上げられた。講義では、今話題のiSP細胞をはじめ細胞を培養している研究室のケーススタディが紹介された。

細胞はシャーレの中で人工的に培養されるから、つねにケアが必要とされる。特にiSP細胞は培養が難しいため、特別な培養室でなされる。新陳代謝する生命体であるから、元気かどうか顕微鏡で観察しては、シャーレの中の培養液のとりかえ(培地交換)と増殖にともなう継代(数の一定を保つため、他のシャーレに移す)といった作業が必須である。それが10か月は続くという。

iSP細胞は毎日培地交換するので、培養者(研究者。技術者)の生活は、この細胞のケア中心で夜も昼も休日もないという。(ここでは長時間労働という言葉はない。)中には、細胞の状態そのままが情動になり、細胞が元気だと機嫌がよく、悪いと落ち込む培養者となり、今日はピカピカとか、ピチピチとか、いうことも感性的になるそう。
細胞の培養には、長期間にわたる、細心のケア、高度の経験とスキルがいるという話でした。

高度医療が高いのも、大変な仕事があるのも、分かりました。