お話おじさん′終活記

はや人生はラストステージ、いつのまにか年が過ぎ、いまがいちばん自由で、楽しい。

ボケずに長生きしなさいね

会館で会報の原稿を整理した。来月号には、昨年末、97歳で亡くなったSさんの特集をしたいと企画して、依頼していたところ、今日その原稿をいただいた。
Sさんからは、よく投稿していただいていたので、何か遺作があるのではと思っていた。

思っていたとおり、終わったカレンダーをつなぎ合わせた、その裏面に、この世の思いを書き残していかれた。次に、その遺訓の一つ「ボケずに長生きしなさいね」を紹介する。

 ボケずに長生きしなさいね
   一
年を取ったら出しゃばらず
憎まれ口に泣きごとに
人の陰口愚痴言わず
他人の事はほめなさい
聞かれりゃ教えて上げてでも
知ってる事も知らんふり
いつでも阿呆でいるこっちゃ

   二
勝ったらあかん負けなさい
いづれお世話になる身なら
若いもんには花もたせ
一歩下がってゆずるのが
円満に行くコツですよ
いつでも感謝忘れずに
どんな時でも
どうも有難うございます

   三
お金の欲を捨てなさい
なんぼ銭金あってでも
死んだら持っていけません
ああ あの人は「ええ人やった」
多くの人から言われる様
生きてる中にバラまいて
山ほど徳を積みなさい

   四
と言うのはそれは表向き
ほんまは銭を離さずに
死ぬまで「しっかり」持ってなさい
人には「ケチ」と言われても
お金があるから大事にし
皆ベンチャラ言うて呉れる
内緒やけれど本當ですよ

   五
昔の事は皆忘れ
自慢話はせんこっちゃ
わしらの時代はもう過ぎた
なんぼ頑張り力んでも
体が言う事ききません
あんた偉いわしゃあかん
そんな気持でおりなさい

   六
我が子に孫に世間様
どなた様にも慕われる
ええ年寄りになりなさい
「ボケ」たら駄目そのために
頭の洗濯生きがいに
何か一つの趣味もって
せいぜい長生きしなさいね

老いて後思い知ること 悲しけれ
この世にあらぬ親の恵みを