お話おじさん′終活記

はや人生はラストステージ、いつのまにか年が過ぎ、いまがいちばん自由で、楽しい。

フローベルの話

今日は雨なので、放送大学へ・・・「金銭と文学」がテーマ講義で、フローベルの話がとても面白かった。

純文学といわれる至上主義では、作家は食っていけないといわれる。それをよく承知した三島由紀夫は通俗小説も書く、二刀流を使った。その金銭と文学の板挟みにあった先駆者作家として、19世紀のフランスの小説家フローベルが取り上げられた。

フローベルは姦通小説「ボヴァリー夫人」でよく知られている。しかし、それは大衆に迎合して著したのではなく、6年の歳月を費やした、彼のはじめての文学的信念の成果であった。
出版にあたって、当時は印税制度がなく、買取りで800フランだったが、裁判沙汰もあって、ヒットし5年で3万部売れ、6000フランを上げた。版元は大もうけしたわけである。それをねたんで、フローベルは、次に書いた「サランボー」を3万フランで売ろうとし、結局は1万フランにしたが、版元とのかけ引きの手紙が残っている。

芸術至上主義という高邁な精神を掲げながらも、金銭に対する卑俗な心をあわせもつ、矛盾した存在が人間の本質なのか・・・