お話おじさん′終活記

はや人生はラストステージ、いつのまにか年が過ぎ、いまがいちばん自由で、楽しい。

シリアについての話

今日の講義は、いま世界が注目している、内戦が続き、人口の半数が難民化しているというシリアについての話だった。
もはやシリアは国とはいえないという。どうして混乱を招いてしまったのか、私は知らなかったし、知らない人は多いと想像する。

話しの概要は・・・
シリアは1946年に独立し、イスラエルとの戦争を通して、現大統領の父にあたるハーフェズ・アサドが大統領になってから、父子2代にわたって独裁体制をしいた。町は北朝鮮同様に二人の肖像が飾られ、いわばスターリン時代同様の秘密警察国家となった。
大多数がイスラムだが、シーア派の一派ともいわれる、アサドを代表とする少数のアラウィー派が国民の9割を占める大多数のスンニ派を支配するという事情があって、力による支配を続けた。
2011年チュニジアに始まったアラブの春といわれる大衆の民主化運動がアラブ各国に飛び火し、時の政権は退陣した。どの国も同胞である大衆デモに対して、軍隊は発砲しえなかったからである。
しかしシリアは違った。同じアラブ人、同じイスラム、自国民に対して軍隊が銃を向けた。
それは少数のアラウィー派が支配するという体制を維持するためであり、もし敗れたら、力の支配に対する報復を受けて、自らのコミュニティの破滅につながるという恐怖があった。(自国民のデモ隊を軍を動員して、殺戮し鎮圧した天安門事件と変わらない。)
そして民主化運動は力の対決に変化し、内戦が始まった。イスラムの宗派の対立もからんだ。

さらに事態を複雑にしているのが、2014年に黒いターバン(ムハンマドの血統の象徴だそう)をまいたバグダーディーが宣言したISであり、クルドであり、そしてロシアである。
昨2015年、ロシアが軍事介入した。少数のアサドのアラウィー派を支援するためで、名目はIS攻撃で、実際は民主勢力の反政府軍であった。アサド政権とロシア(ソ連)とは親交が深く、シリアにはロシアの中東進出の拠点になっている海軍基地がある。
また、シリア軍はロシアで軍事訓練を受けたため、ロシア女性と結ばれ帰国した例が多く、シリア国内には、いまも3万人を超すロシア女性が在住しているという。
民主勢力の反政府軍には、アメリカをはじめヨーロッパ諸国が支援しているから、この内戦は終わりがみえなく、いまやシリアは国家が崩壊して、国民が流失し、分割支配の和平案が上っている。