お話おじさん′終活記

はや人生はラストステージ、いつのまにか年が過ぎ、いまがいちばん自由で、楽しい。

空マンション

昨日の班会議の閑話で家内が聞いてきたが、我が家にも近い、この町内で唯一の鉄筋5階建てマンションがまったくの空き家になったとのことである。
そういえば、最近人の出入りを見かけなくなった。

このマンションにはいわれがある。できたのは平成3年で、一方的な建設の話が突如広まり、付近住民は反対し、その不満が高まった。ここに高層建築が許されるのかも定かでなかった。

建てたのは当時町会議員もしていた地元の一家、その一人が建設業にたずさわっていた。一家の所有地に建てたのだから、遺産相続対策だったことは明らかである。

付近住民の反対不満をよそに建設が進められたが、建設中にも台風19号の襲来で、マンションの瓦(スレート)が広範囲に飛び散り、風下の家々に被害ももたらした。我が家もガラス戸が一枚割られた。

その後どうなったか、まだ若いのに当の町会議員は亡くなり、妻も難病を患ってすぐその後を追った。一家は離散し、屋敷も処分された。昔からの旧家が一軒、この町から消えたのである。

人々の恨みを買うことが、どういう結果をもたらすのか、これほど目の当たりに見せられたことはない。

いまや、このマンションは人手から人手へと渡り歩いて、住む人がいなくなった幽霊マンションである。

新たに、まあまあの不動産会社が手がけて、またはじめるとのことだが・・・

この20年で、人の怨念は消えたのであろうか。