近年亡くなられた放送大学教授の渡辺二郎先生のテキスト「自己を見つめる」が叢書に入っているので読んだ。
哲学は、人生の根本問題についての考察という立場から書かれた本である。
全編読み応えがあるが、老いの生き方について、賢人セネカの言葉を引いている。
「心身を健全に保ち、見識を蓄え、運命の贈り物は活用しながら、しかしその奴隷にはならずに、乱されない自由な心と剛毅な精神において、不屈の力をもって、公正に生き、道義を守り、克己心強く、高潔に、そして調和をもって優美に、善行に励むことのうちに、人生態度の基本が据え置かれねばならない」
セネカは2千年前にローマに生きた人であり、いまも人の心の中に生きている。
そのセネカの説くように生きられたら、人生に悔いを残すことはないだろう。