お話おじさん′終活記

はや人生はラストステージ、いつのまにか年が過ぎ、いまがいちばん自由で、楽しい。

夜中の1時間

去年あたりから夜中にトイレに起きるようになった。まれに朝まで目が覚めないこともあるが、たいてい寒さも手伝ってか、この頃は1回は起きる。起きても、用を足してすぐ床に戻って寝れればいいが、寝付かれないので、眠くなるまで起きていることになった。

そして、その夜中の1時間ほどをパソコンを開いて過ごしている。アクセスするのは、たいてい新聞社のホームページと青空文庫かで、いま永井荷風にはまっている。
昨夜は「書かでもの記」を読んだ。40歳ごろの執筆で、小説家としての前半生を知ることができた。

荷風が他界したのは昭和34年、出会ったことはなかったが、浅草のストリップ小屋に出入りしている姿や全財産を持ち歩いていて落としたことなどの新聞記事には、覚えがある。まだ若かった当時は、代表作の「墨東奇譚」を読んで、そういう世界にはなじめなかったので関心を失っていた。

荷風は後半生を戯作者の道に生きた。それは大逆事件を機に「ドレフュス事件を糾弾したゾラの勇気がなければ、戯作者に身をおとすしかない。」と、ペンをもって権力に立ち向かう勇気が自らにはないことを痛感したからにほかならない。
正義感が強かった荷風の気持ちをあらためて知って、なるほどそうかと思った。

今日も大雪、自然には従うしかない。しばらくは閉じこもりの生活。